連載小説「恋のわかでき学園」第1話
恋のわかでき学園 第1話: 新学期の始まり
「美咲~起きなさ~い。もー。今日から新学期でしょ~?」
ガバッ!(ヤバッ!何時⁉)慌てて顔洗って制服に着替え、
髪の毛やって愛犬カエサルを撫でて食パンを咥えて家を飛び出す。
なるぱーく学園までダッシュで5分!なんとか間に合う。
今日はクラス替えの発表、今日からあたし2年生。
「いってきま~す!」
走りながらパンが食べづらい。
ジャムを多めに塗ってもらうんだった。
もっと余裕を持って起きるはずだったのに~!
あたしったらホントに・・・
ドンッ!
急いで角を曲がったところで、誰かとぶつかってしまった。
「ごめんなさい!」
と謝りながら美咲が顔を上げると、
そこにいたのはサッカー部のエース、田中翔太が立っていた。
ブレザーの胸にジャムがついてしまった。
「大丈夫?」
と優しく声をかける翔太に、
美咲は少し驚きながらも
「う、うん、大丈夫」
と答えた。
これが翔太と初めての出会いでした。
学校に到着した美咲は、
親友の高橋由美と同じクラス、
2年A組になれたことを喜び合い
「由美ちゃん。ホントよかったね~。今年もよろしくね~」
「美咲~こっちこそよろしくね~」
2人はギュッと抱き合います。
そこにお調子ものの鈴木健太が
「あたしも同じクラスでよかったぁ~今年もよろしくね~」
と両手を広げて迫ってきます。
「あんたは来なくてよしっ!」
「ゲフーッ!」
由美の鉄拳が健太の顔面を打ち抜きます。
「フッ。やるじゃない。」
口を手で拭いながら健太が言います。
このお決まりのくだりが今年も見れると思うと美咲は笑いを抑えられません。
「楽しそうだね。」
その輪に入ってきた男子がいました。
今朝、美咲がぶつかった男子でした。
「おう、翔太!紹介するわ。去年1年A組で一緒だった高橋由美と佐藤美咲」
「翔太のことは知ってる?
サッカー部のエースでなるぱーく学園のネイマールと言われてる田中翔太。よろしくな。」
「よろしく。」
翔太はニコッと笑いながら2人を見る。
美咲はぶつかった場面を思い出し顔を真っ赤にしながら
「け、今朝はごめんなさい。こ・・・こちらこそよろしく。」
その様子を見て由美と健太が顔を見合わせ、同時に
「なんかあった?」
「あ、あたしが急いでて、角でぶつかっちゃったの・・・それで・・・」
美咲が翔太の胸を指さす。
「ん?なんだこれ」
ブレザーの胸の部分を両手で持ってみんなが顔を近づける。
「ジャムかよ!W」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
美咲が涙目で謝りながらハンカチで拭こうとするも、翔太は
「いいよいいよ」
と健太と面白がっている様子。
「よーし、みんないるかな?」
と担任の鈴木先生が入ってきて、みんなが席に着いた。
ある日、放課後の教室で、翔太が美咲に声をかけました。
「佐藤さん、パソコン部の活動ってどんなことしてるの?」
美咲は少し驚きながらも答えました。
「MOS試験の勉強してるよ。今度Word2019受けるんだ。田中君はサッカー部だよね?」
「うん、そうだよ。今度の試合、応援に来てくれない?俺、絶対シュート決めるから!」
第2話へ続く
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