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【プチコラム05】Windows10とWindows11がどのくらい違うか、改めて比べてみた Part② 機能編

いつも記事を閲覧頂きありがとうございます!
前回に引き続きWindows11の変更点に関するコラムPart②です。

前回が見た目でわかる変化を取り上げたので、今回は見た目ではわかりにくい機能やシステム的な変更点について比べていこうと思います。

システム的な内容の為、どうしても説明が長くなりがちなのでご了承ください。


注意
検証には、Hyper-Vを利用した仮想マシンへWindows11 Pro 64bitとWindows10 Pro 64bitをインストールして検証を行っています。仮想環境にインストールされた検証用のWindowsは、検証作業のみでの使用の為、ライセンス認証をしていない状態で動作させております。
上記の理由により、PCに直接インストールした状態やライセンス認証済みの状態とは一部違った結果になる可能性がありますのでご了承下さい。

また、画像上にWindwos10 Homeと記載がある比較については、記載の通りWindows10 Homeがインストールされたパソコンでスクリーンショットを撮影し確認しております。


Part①の続きなので8つ目の変更点からです。

⑧ウィンドウのスナップ配置がさらに便利に

コラム02の時にも触れましたが、Win11の目玉機能の一つがウィンドウスナップの強化です。

Win10までは、タイトルバーを手動でドラッグし、画面端まで移動させることで「最大化」「左右2分割」「4分割」「元に戻す」などが利用できました。
便利ではあったが、分割表示の場合スナップでは均等分割しか出来ず、片側を広くなどは分割後に手動で調整するしかありませんでした。

Win11ではこの配置に新たなパターンが追加されています。
例えば、「左だけ広い左右2分割」や「左半分と右に上下2分割」などがあり、しかも現在のウィンドウをどの箇所に配置するのかもメニューから選べるようになっています。

私も実際に試してみましたが、Win10までと比べて手動で微調整しないといけない場面というのがかなり減った印象でした。
もちろん、ウィンドウ配置は各個人のこだわりが出る部分なので、全てに対応しているわけではありませんが、それでも従来に比べると調整に必要な労力は減っていると思います。

実はさらに便利なのは、この分割配置した情報がスナップグループとしてタスクバーに保持されるようになっていることです。
この機能により、スナップを使って複数ウィンドウを同時に開いて作業している状態から別のアプリに表示を切り替えた後にも、タスクバー上から「アプリ単独」か「スナップグループ」でを対象にアクティブウィンドウを切り替えられる様になっています。
画面の切替を多用して作業する方にとっては、間に別の事をしなくてはいけなくなっても、一瞬で元の配置に戻せることが出来るという「神アプデ」といっても良い様な機能になっています。


⑨個人向けTeamsをベースにした「チャット」を標準搭載

Win10ではSkypeが標準搭載されていましたが、Win11では「チャット」というアプリに置き換わっています。

チャットアプリの実態は、2021年5月にリリースされた「個人向けTeams」がベースになっているようで、Microsoftアカウントを利用して「文字と音声のチャット」「ビデオ通話」等が利用でき、1対1だけでなくグループでの利用も出来ます。

Win11に統合されている為、相手からの通話があったときには右下に通知が表示されすぐに会話に参加することが出来るようになっているほか、カレンダーアプリを利用した予定の作成やタスク共有などにも対応しています。

注意点なのは、あくまで「個人向けTeams」がベースの為、法人向けである「Microsoft Teams」とは別アプリとなっています。その為、TeamsのWeb会議に参加したり、会社などの組織アカウントでのサインインや通話などは出来ません。
あくまで、Microsoftアカウントを利用している家族や友人同士で繋がるツールとなっています。


⑩ペン入力・音声入力などの入力機能が進化

一番大きな変化だと、ついに音声入力に対応しました。
Windowsキー+Hキーを押すことで音声入力がONになります。
日本語にも対応しているうえ、句読点の自動認識にも対応しています。
ただし、「、」の認識はなかなかうまくいかない場合も多いので、必要に応じて自分で修正が必要なようです。

ペン入力は「ペンタブレット」や「タッチ対応ディスプレイ」などを利用しているときに利用可能な入力方法です。Win10にも実装されていましたが、Win11の変更で、ペン入力のメニューにお気に入りのアプリを追加したり、3本・4本指でのジェスチャー機能にも対応しました。

併せて、タッチキーボードにも変更が入っています。
絵文字や顔文字などを簡単に入力できるようになり、コンパクトなレイアウトを選択できるようになっている他、キーボードの背景にテーマを設定することが出来るようになっています。


⑪ディスプレイ設定の改善

主にマルチディスプレイ環境での使い勝手が向上し、ディスプレイの接続状態と各アプリの配置を関連付けて制御できるようになっています。

Win10までは複数ディスプレイを接続している際にウィンドウを外部ディスプレイ側へ配置していても、外部ディスプレイの接続が切れた瞬間にメインディスプレイ側へウィンドウが移動させられてしまい、その後 外部ディスプレイが再接続されても手動で配置を直す必要がありました。
Win11の変更では、外部ディスプレイが再接続された際に、ウィンドウが自動的に元の配置で表示されるように変更されました。

マルチディスプレイ利用者は、デスクトップPCの方が多いと思います。
私のようにPCでゲームをする方は特に、画面切り替わりの瞬間に一瞬だけディスプレイの認識が切れてしまった…そんな経験もあるのではないでしょうか?
今までであれば、その際にウィンドウ配置が崩れることがしばしばありましたが、Win11からはそういった時にも自動で復旧するようになるのでとても便利だと思います。

また、ノートPCをマルチディスプレイで利用されるかたも最近は少なくありません。自宅ではディスプレイを接続して大画面で、外出時はノートPCだけを持っていく。
特にビジネスマンやエンジニアの方でそういった使い方をよく聞きます。
この場合でも、Win11なら自動的にウィンドウ配置が認識されるので、都度ウィンドウ配置を直して…という作業からは解放される…はず?です。

他にも、最近多くなった高リフレッシュレートのディスプレイを利用している場合、ディスプレイ側が対応していれば自動的にリフレッシュレートを可変させる「ダイナミックリフレッシュレート」機能も利用可能になっているようです。


⑫Microsoft Storeの全面改良

Microsoft Storeは、もともとUWP(Universal Windows Platform:Windows専用のアプリ)を配信する場として作られましたが、アプリの開発者がUWPへの移行をしなかった為あまり普及しませんでした。途中からは一般的なWindows用ソフトウェア(Win32アプリ)をパック化して公開できるようにする仕組みなども導入されましたが、サードパーティーの開発者・販売元だけでなく、Microsoft自身も自社のOfficeアプリなどの配布経路としてもほとんど利用していないのが実情でした。

そこでWin11のMicrosoft Storeではデザインや検索の改善、Win32アプリの標準対応、ビジネスモデルの変更の3つの改良が盛り込まれました。

※デザインや検索の変更は前回のPart①の内容になるので割愛します。

Win32アプリの標準対応は聞こえだけだと前と同じに思えますが、Win11からは以前のように開発者・販売元がパッケージ化をしなくてもWin32アプリのままで配布できるようになっています。これによって、販売元がより手軽にMicrosoft Storeで配布できるようになりました。

ビジネスモデルの変更については、有料のアプリをMicrosoft Storeで配布する場合、従来はMicrosoftの用意した決済手段を利用しないとアプリの購入などが出来ませんでした。
決済時のMicrosoftの取り分は約15%程度と、AppleやGoogleの約30%という手数料と比べると元々低く設定されていました。
Win11からは、アプリの販売元による独自の決済手段の利用が許可されるようになり、Microsoftの用意した決済を利用しない限りMicorosoftの取り分は発生しない事になりました。

このように、Win32アプリへの対応と独自決済手段の許可により、Microsoft Storeでのアプリ配布によるデメリットはほとんど無くなったと言えると思います。
すでに、「Adobe Creative Cloud」や「Epic Games Store」、「Discord」などの公式配布も始まっています。
Win32アプリの配布に関しては、各公式サイトからDLできるインストーラーと同じものを配布しているだけで、バージョンアップ等も各ソフトによって個別に行われている為、Micorosft Storeでの一元管理が出来ないという実態もあるようです。
ただし、アプリを探す時にわざわざ公式サイトを探す手間が無くなるのも嬉しいですし、最近多い偽サイトの事もほとんど気にしなくて良くなります。

今後もユーザー数の多いソフトが配布される事を期待したいと思います。


⑬標準アプリの更新(後日実施予定)

まだ未実装の物も多数含まれていますが、標準アプリ(ペイントやフォト、SnippingToolなど最初からインストールされているアプリ)のデザインや機能にそれぞれ変更が入っています。

よく画面のスクリーンショットを撮影して保存したい時に
PrintScreenキー押す → 「ペイント」に貼り付け → 加工や保存など
とされる方を見かけますが、その「ペイント」もタブ・リボン部分のデザインが変更される予定になっています。後日、Microsoft Store経由でアップデートされると思います。


⑭「Auto HDR」「DirectStorage」などの新技術に対応

⑪のディスプレイ設定の改善とも関連して、HDR表示対応ディスプレイを使用している場合、条件に合わせて自動的にHDR時のカラーや輝度などが調整される「AutoHDR」にも対応ています。

もしとあるHDR未対応のゲームが「明るさ0から10」で作られているとした場合、「明るさ0から15」まで表示できるHDRディスプレイに映したとしても、そのままではHDRでの表示にはなりません。
仮にHDRで表示しようと、単純に一番明るい10を上限の15まで引き伸ばして描写してしまうと、元々白色で描写される部分が、すべて強いハイライトの眩しさになってしまうといった可能性があります。

Auto HDRでは、機械学習を活用し、ゲームや映像を部分ごとに認識して階調を調整し、自然な形で見えるHDR映像に変換する機能となっています。
ただし、ディスプレイ側のHDR対応具合やディスプレイ毎の色調整によっては、逆に全体の色味が変わってしまい見づらくなる場合もあるので、その場合はHDR自体をOFFにした方が良い場合もあります。

もう一つの目玉機能が「DirectStorage」です。

DirectStorageとは、HDDやSSDといったストレージから画像処理を行うGPUにテクスチャなどのデータを転送する際に、遅延の原因となっていたCPUでの処理を行わずに高速転送することを可能にする技術の事です。

これもゲームにおける機能として、同じMicrosoftが製造するXbox Series X/Sにおいて別の名称で先行的に導入されていた機能です。
DirectStorageの利用にはゲーム側が対応している必要があり、現在まだ対応製品はほとんどありませんが、Xbox用ゲームの開発ツールには含まれているようなので今後Win11の普及と併せて徐々に広まっていくと予想されています。

このDirectStorageを利用する為には、「標準NVM Express コントローラーで動くNVMe接続のSSD」および「Shader Model 6.0をサポートする DirectX 12 GPU」の要件を満たしている必要があります。
つまり、
①NVMe接続のSSD=現状はほとんどのM.2 SSDはNVMe(Gen3 or Gen4)だが、M.2 SSDでも一部にSATA接続の場合があるので注意。
②Geforce 第2世代Maxwell(GTX900世代)以降 or RADEON 第2世代GCN(HD7000世代)以降のGPU となる。ただし、両社ともリネーム品等により同じ製品世代であってもアーキテクチャが新旧入り乱れている場合があるので注意。

結論としては、2015年以降のM.2 SSD搭載PCならだいたい当てはまると思いますが、GPUの世代などを含め時期だけでは対象か見分けられない部分もあるので確認は必要です。


用語解説

サードパーティー…第三者を示す。メーカー(ファーストパーティー)、ユーザー(セカンドパーティー)以外の人・組織を示す時に使われる事が多い。コンピューター本体を製造している企業以外の、アプリや周辺機器などを製造するメーカーの総称。

HDR…High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略。従来のSDR(スタンダードダイナミックレンジ)に比べてより広い明るさの幅(ダイナミックレンジ)を表現できる表示技術として、近年TVやPCモニター等のディスプレイ全般で広がりつつある。一般的なSDR映像では日陰が黒つぶれしたり日向が白飛びしたりするが、HDR映像だと明るい部分と暗い部分どちらも犠牲にすることなく、より自然でリアルな描写が可能になる。

リネーム品…旧製品の名称のみを変更し、新製品と同一シリーズのように販売された製品。製品ランクの穴埋めとして行われることが多く、リネーム商法とも。

アーキテクチャ…コンピューター等に使われる半導体の基本設計の事。新旧製品で同じアーキテクチャを使っている=細かい部分に変更があったとしても、基本的な部分の設計はほぼ同じと思って差し支えない。


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